Home > ニュース > マハン・エスファハニ:インタビュー
2016.09.14
【日本最終公演】
2016年9月16日(金)19時開演 銀座・王子ホール
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【インタビュー】
チェンバロでなければ、何の楽器を習いたかったですか?
リュートは今では数少ないジェントルマンの楽器だと思うので、リュートが弾けたらよいですね。
もし選べるのなら、どの時代に生まれたかったですか?
今私たちが生きている時代は、過去のどの時代にくらべても良いわけでも悪いわけでもないと考えています。私はきっとどんな時代に生まれたとしても、その時代にすばらしい点も不満な点も感じたにちがいありません。もちろん、過去を美化する人々はいつでもいます。でも私は今の時代にとどまりたいと思います。
ただ、1889〜1990年のパリの万博には行ってみたかったなと思います。でもそのままパリあるいはその時代にとどまりたいとは思いません。
過去の作曲家のなかで、誰に曲を書いてほしいと思いますか?
モートン・フェルトマンにチェンバロのために曲を書いてほしかったです。
過去あるいは現代の画家で、自分が絵のモデルになってもよいと思うのは誰ですか?
間違いなくゴヤですね。
音楽において、または人生全般において、尊敬する人は誰ですか?
ヨハン・セバスティアン・バッハです−−音楽においても人生全般においても。
無人島に持っていきたい3つのものは?
1つはヤロスラフ・ハシェクの小説『兵士シュヴァイクの冒険』。この小説は、いわば始まりも終わりもないので、どのページから読み始めても楽しめます。
録音では、アダム・フィッシャー指揮デンマーク国立室内管弦楽団によるモーツァルトの交響曲全集。僅差で、リヒテルの弾くバッハの《平均律》、あるいはブーレーズの作品全集、ウェーベルンの作品全集ですね。
3つ目はティン・ホイッスル(6つの指穴のブリキ製の小さな縦笛)です。無人島にひとりぼっちでいる時は、チェンバロを調律する気分にはならないと思うので。この笛を吹いたら鳥が気に入ってくれるかもしれません(演奏によっては嫌がるかもしれませんが)
音楽以外でしてみたい冒険はありますか。
マルコ・ポーロと一緒に中央アジアを通って中国まで旅してみたらさぞかしおもしろかったでしょうね。まったく違う文化を発見するのは不思議な体験だったでしょうね。きっと私たちが火星に行くぐらいの体験だったことでしょう。
理想の聴衆とは?
どんな聴衆も、それぞれの良さを持っていると思います。ただ、やはり音楽を心から愛している(あるいは少なくとも音楽に関心がある)からコンサートを聴きにくる聴衆のほうが嬉しいです—社交などの理由で来ている聴衆よりも。
音楽作品を聴いて、息もつけないほどの体験をしたことはありますか?
《ニュルンベルクのマイスタージンガー》をじっくり聴いたあとはしばらく休まなければなりませんでした。それから、リゲティの《コンチェルト・ロマネスク》を初めて聴いたとき、文字通り数秒まったく息ができなかったのを覚えています。
どの作曲家が過小評価、あるいは過大評価されていると思われますか?
過小評価、あるいは誤解されている作曲家は数多くいると思いますが(それを考えると気分も滅入ってくるのですが)、たとえばハイドン(ええ、依然としてハイドン!)、エリザベス・マコンキー、マルティヌー、イモジェン・ホルスト、トリスタン・ミュライユ、クラウス・フーバー、エルガー(ええ、エルガーも!)。
他方、過大評価されている作曲家は誰から始めましょうかね。生きている作曲家については触れませんが、私自身はマーラーが理解できません。今まで一度も。マーラーの交響曲を通して聴くぐらいだったら歯医者に行ったほうがよいです。マーラーが偉大な作曲家ではない、と言いたいわけではなくて、私自身が彼の音楽をまったく理解できないだけです。
音楽についてよく使われる、飽き飽きしている表現は?
「リラックスできる音楽」という言葉が苦手です。初めてこの言葉を使った人を見つけ出して張り倒してやりたいです(笑)。
音楽家としての座右の銘は?
「何よりも、おまえ自身に忠実でありなさい。
そうすれば必ず、夜が昼に続くように
お前は他人にも不実にはなれないはずだから」
シェイクスピア「ハムレット」(第1幕第3場より)
今読んでいる本は?
ラディカルな解放思想やフェミニズムなどで知られるエマ・ゴールドマン(1869-1940)の自伝です。
架空の生き物で自分に近いのは?
ネッシー(ネス湖の怪獣)です。子供の頃からすごく興味がありました。
次の中からご自分の性格にいちばん近いのはどれですか−−陽気、メランコリック、短気、どんくさい。
メランコリックですかね。